何故だろうな。必ず帰ってくるだろう、と思いながらもたまらなく寂しいのは。
心が離れたわけでもないのに、どうして、こんなにも。
お気に入りの本やおもちゃを、黙って捨てられてしまったような、なんか、そんな。

無い、と思うと、急に欲しくなる。

あのしっぽの温もりが好きだった
なびく銀髪を見るのが好きだった

あだ名を呼ぶのが好きだった
困らせるのが、からかうのが、好きだった



早く帰っておいで、子供たち。
こんなぼろ屋で、飯事のような家族ごっこだが
一人でもかけては駄目なのだ。
早く帰っておいで。
また一緒にご飯を食べよう。
だからそれまで、元気で。
新しい、次の宇宙でもちゃんと
おなかをすかせないように、寂しい思いをしないように
笑っていられるように。


私はずっと、ここで待ってるぞ。
お別れをいえなかった分、戻ってこれたときには
大きな声でただいま、と言うがよい。
その倍の大きな声で、おかえり、と言ってやる。